鉄道車両の修繕を一手に引き受けるメンテナンスの拠点「JR東日本 大宮総合車両センター」
大宮駅から徒歩10分ほどのところに、首都圏の鉄道車両のメンテナンスを行うJR東日本 大宮総合車両センター(以下、大宮総合車両センター)があります。JR東日本管内首都圏で総合と名の付く車両センターはここ大宮と東京の2つ。通常は各地の車両センターで日常の定期検査を行い、3~4年に1回、総合車両センターで大規模な検査と修繕を行っています。
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大宮総合車両センターが担当するのは首都圏を走る通勤車両や特急車両、さらにSL修繕など。なかなか見る機会のない総合車両センター内ですが、今回特別に中に入らせていただきました。敷地内はどうなっているのか、どのような作業が行われているのかを探ってみましょう。
大宮総合車両センターの大きさは東京ドーム3個分。広い敷地内には、何々車体棟、何々部品棟などさまざまな作業別の工場があり、大小さまざまな機械や設備が並んでいます。足元には台車や車両を搬送するためのレールが敷かれています。
大宮駅から入れ換え作業によって入場した車両は、まずどのような検査・修繕が必要かのチェックを受け、車体と台車(車輪などがついている車両下の走行装置部分)を切り離します。車両によって違うものの、成田エクスプレスであれば1車両の重さは車体が約28t、台車が約10tで合計約38tほどもあるので作業は大がかり。車体と台車はそれぞれの車体棟と部品棟へと運ばれ、必要な検査と修繕作業が行われます。
例えば車輪の場合、車両に使われている車輪の形が摩耗によってくずれてくると乗り心地が悪くなったり音が大きくなるなどの症状が出てくるそう。そこで、車輪を削って元の形に戻すことと、1編成ごとに車輪の厚みを揃えるという処置を施します。
そのほか、車体なら窓ガラスやドア、座席、トイレなど、部品なら台枠や輪軸、モーター、冷暖房装置、スピードをコントロールしたりブレーキを掛けたりする部品などがあり、検査と修繕の内容は多岐に渡ります。1つの電車の修繕にかかる期間は半月から一か月ほど。すべての検査・修繕が終了したあとは、試運転を経て出場となります。
電車が好きな人でも、そうでなくても、驚いたり発見があったり見ていてワクワクすること間違いなし。年に1度のイベント「鉄道ふれあいフェア」では会場の1つになっていて敷地内を見ることができるので、ぜひ足を運んでみましょう!
敷地内を見学していると、ガスタービン車や電気機関車EF60 47など古い車両のカットボディの展示を見ることができます。レトロなデザインや質感が撮影するのにぴったり。
さらに資料館には、かつて大宮総合車両センターが日本鉄道株式会社~日本国有鉄道大宮工場だった明治・大正・昭和時代の写真や資料がいっぱい。大宮駅開設のあらましや各車両の説明書、工場職員の採用辞令や給与辞令、勤務表などさまざまな資料から大宮工場だけでなく大宮駅、ひいては鉄道の歴史まで知ることができます。
大宮駅から鉄道博物館へと向かうルートの途中、大宮総合車両センター沿いの歩道は「RAILWAY GARDEN PROMENADE」と称され、D51187号蒸気機関車(D51型)ほか古い車両や、鉄道車両の説明が展示されていたり、鉄道をモチーフにしたガードレールが設置されていたり鉄道にまつわる色々な物が見られます。休憩できるベンチもあるので、散歩や撮影スポットとしてもおすすめです。