慈恩寺 外観

開山1200年記念 千手観世音菩薩の御開帳を拝観する|慈恩寺

※終了しました

令和6年(2024)に開山1200年を迎えた慈恩寺では、御本尊である千手観世音菩薩の御開帳と、所蔵する二十八部衆像の展示を期間限定で実施しています。今回拝観するにあたり、慈恩寺の大嶋住職と岩槻観光ボランティアガイド会の黒田さんに、慈恩寺の成り立ちや御本尊についてのお話などをうかがいました。ぜひみなさんもこの機会に足を運んで、貴重な御開帳を拝観してみてはいかがでしょう。

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平安時代創建 板東三十三観音霊場の札所でもある古刹

慈恩寺 外観
参拝
阿吽
香炉
燈籠
門
ガイド会

正式名称は華林山最上院慈恩寺といい、天長元年(824年)に慈覚大師によって開かれた天台宗の古刹。境内を散策しながら、ガイド会の黒田さんにお話をうかがいました。

「慈恩寺は江戸時代には徳川家康より100石を拝領した格式高い寺院です。かつては13万5000坪もの広大な敷地に宿坊が66ヶ坊もあったそうです」

また境内には山門や本堂(観音堂)、香炉、梵鐘などがあり、ひとつひとつに慈恩寺の歴史を感じることができます。

「火災で焼失したため、現在ある本堂は新たに建立されて180年ほど。一番歴史が古いのは山門で300年以上前に建立といわれています。そのほか、境内で見ていただきたいのが市の重要文化財になっている南蛮鉄燈籠です。岩槻城が落城したのが天正18年(1590)なのですが、その直前、天正17年(1589)に城主の北条(太田)氏房の家臣から寄進されたものだそうです」

また、慈恩寺は板東三十三観音霊場の札所の1つでもあります。板東札所は関東7県に点在しており、全行程は1300km。慈恩寺は12番目の札所になります。

「板東三十三観音霊場が開設されたのは鎌倉時代ですが、慈恩寺詣ででにぎわったのは江戸時代。岩槻は小岩から36km程度の距離なので、江戸川・現在の元荒川沿いを歩いて参拝する人が多かったようです」

 

本堂に祀られた御本尊御開帳と二十八部衆特別展示

本堂内
御本尊
二十八部衆左側
二十八部衆右側
天井
西遊記の絵

※本堂内撮影禁止。今回特別に撮影させていただきました。

 

令和6年(2024)で開山1200年を迎える慈恩寺では、期間限定で御本尊の御開帳が行われています。大嶋住職に案内してもらい本堂の中へと足を踏み入れると、朱色を基調とした豊かな色彩の中に金色の厨子が見えます。

「御本尊である千手観世音菩薩は、比叡山の南光坊に飾ってあったものを、寛永年間(1624~1643)に天海僧正が招来したものだといわれています」

いつもは固く閉ざされている厨子の扉の奥に、この期間だけ千手観世音菩薩の姿を拝観することができます。貴重なお姿を前に身の引き締まる思いがするのではないでしょうか。

御本尊の御開帳にあわせて通常奥に鎮座する二十八部衆像が前面に特別展示されています。御本尊を背に、帝釈天王や迦楼羅王ほか28体がずらりと並ぶ様は迫力があります。

「本堂が建立180年ほどで、二十八部衆もその頃に造られたものだといわれています。普段は本堂の奥に納められているので、こうやって一堂に並んだ姿を見られるのは今回が初めてですし、この先しばらくないでしょう」

大嶋住職が在職の間は、もう展示されることはないとのことなので、この機会にじっくり拝観しましょう。どんな仏様であるのか、一体一体の意匠を確認しながら調べてみるのがおすすめです。

 

●開山1200年 千手観世音菩薩 御開帳

期間:令和6年3月20日~9月23日

平日:9:00〜15:00 土日祝日:9:00〜16:00

拝観料:無料

 

5月の「玄奘祭」も楽しみ 三蔵法師のご霊骨を祀る玄奘塔

門と玄奘塔
紀行図
大摩尼車
像と玄奘塔
玄奘祭
彼岸花

慈恩寺から徒歩数分のところに位置する高台には、十三重の塔「玄奘塔」があります。正式な名称は「玄奘三蔵法師霊骨塔」といい、西遊記で知られる三蔵法師のモデルといわれている僧侶・玄奘三蔵の霊骨が納められています。昭和17年(1942)に中国で発見された霊骨が昭和19年(1944)に日本に分骨された大変貴重なもので、2024年で80周年を迎えました。

大嶋住職のお話では、この霊骨が慈恩寺に納められたのは不思議な縁があったそう。

「当初は東京・芝にある増上寺に納められたものの、その頃ちょうど戦火が激しくなっていたため疎開という形をとって慈恩寺で預かったそうです。その後、慈恩寺が三蔵法師ゆかりの西安・大慈恩寺にちなんだ名であること、開祖の慈覚大師が大慈恩寺で学んだことなどさまざまな事情が重なり、ここに塔を建て奉安されることになりました」

玄奘塔は高さ18mにもなる十三重の塔。敷地内には玄奘三蔵の銅像や大摩尼車、紀行地図などが設置されています。

毎年5月5日に開催される玄奘祭では、法要が行われるほか、本堂から玄奘塔まで孫悟空に扮した子どもたちが練り歩くのが恒例となっています。ほかにも春には桜、初夏にはホタルの観賞会が行われたり、秋には彼岸花の群生が見られたりと、地域の人々に親しまれています。

 

玄奘三蔵法師をもっと深く知ろう! 「玄奘三蔵法師 霊骨御招来80周年特別企画」のご案内

 

令和6年11月4日(月・祝)に、玄奘三蔵法師の霊骨御招来80周年の特別企画として、記念講演が開催されます。分骨先である奈良・薬師寺管主「加藤朝胤師」をお招きし、三蔵法師のお話を伺うことができる貴重な機会です。講話だけでなく、写経や太極拳の演舞なども行われる予定。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

●玄奘三蔵法師 霊骨御招来80周年特別企画

日時:2024年11月4日(月・祝)13:00〜16:00(開場12:45〜)

会場:市民会館いわつき 大ホール

主催:岩槻観光・まちづくりの会

参加費:無料

お問い合わせ:岩槻観光委員会(さいたま商工会議所岩槻支所内)TEL 048-756-1445(8:30〜17:00、土日祝休み)

※申込方法はこちらを参照(2024年10月15日締切)

 

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正式名称は「華林山最上院慈恩寺」といい、天長元年(824年)に慈覚大師によって開かれた天台宗の古刹です。 江戸時代には徳川家康から寺領100石を拝領していたこともあり、坂東三十三観音霊場の十二番札所でもあることから、今も境内は参拝や観光に訪れる人々で賑わっています。 <山号>華林山 最上院 慈恩寺 <宗派>天台宗 <御本尊>千手観世音菩薩

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